Treatment
整形外科は、身体の運動に関係する骨・関節・筋肉・神経などの運動器に発生した病気やケガを扱う診療科です。骨折やケガなどの外傷、腰痛、膝や肩の痛みなどの変性疾患や骨粗鬆症に代表される加齢や閉経に伴う疾患など、幅広い年齢層の方を対象とし、適切な診断、治療により、日常生活が送れるようサポートします。
当院では、加齢に伴う腰部脊柱管狭窄症、変形性膝関節症、大腿骨近位部(脚の付け根)骨折をはじめとする手足や背骨の骨折、そしてその原因となる骨粗鬆症などが対応する主な疾患となります。これは、地域の高齢の患者さんの運動器の病気やケガの増加のためニーズが高まってることによります。もちろん、小児やスポーツ外傷の診療も行っていますし、最近は、骨折を起こしていない、閉経後女性の骨粗鬆症の早期治療は年々増加しています。
腰部脊柱管狭窄症は、あまり腰痛を伴いません。症状は臀部や下肢にしびれや痛みとして出ます。座っていたり、寝ているときは問題がないのに、立ちっぱなしや歩行時に、臀部や下肢の痛みやしびれが強くなり長く歩けなくなります。症状が進むと、しびれは常にあり、寝ていて下肢がつるようになり、おしっこが近く、便秘がちになります。
変形性膝関節症の多くは、膝の内側が階段の下りや立ち上がっての歩き出しの際に痛みます。関節液が増えるため、膝が腫れ、曲げ伸ばしで痛みが出ます。症状が進むと、歩行時の痛みが強くなり、外出する気がなくなってきます。
大腿骨近位部骨折のほとんどの患者さんは手術が必要となります。入院後は疼痛のため、ベッド上での生活を余儀なくされます。この状況から早く脱却し、自身で動けるようになるため、当院では、内科、麻酔科の協力のもと入院後平均2日以内に速やかに手術を行い、早期にリハビリテーションにつなげています。
背骨の骨折で痛みのために自宅で生活ができない患者さんには、入院時からコルセットを装着し、痛みを和らげ、徐々にリハビリテーションを開始します。しかし、骨粗鬆症を原因とする背骨の骨折のうち3分の2は無症状と言われています。背骨の骨折をしたことがないと言う患者さんに、背骨のエックス線検査を行うと過去の骨折が見つかることは珍しくありません。一度確認されてみてはいかがでしょう?
骨折が原因で入院された患者さんには、入院中に、骨粗鬆症の診断を行い、必要な方には治療を開始します。骨粗鬆症に対しては、2016年7月から多職種からなるチームを作り、「高齢者を元気にする」をスローガンに、診療にあたっています。
手術を行わずに治療を行う保存治療、保存治療が難しい場合は手術治療を、患者さんの痛み、生活背景、年齢などを考慮し、患者さん及び御家族に説明し、納得していただき、治療方針を決定します。また、当院で治療が困難な場合は適切な病院への紹介を行っております。
朝日野総合病院整形外科は、2024年4月より常勤6名、非常勤1名体制となっています。
日本は超高齢社会となっておりますが、当科の医師も例外ではありません。そのため、主に手術を行う医師、保存治療を担当する医師や急病の患者さんに対応をする医師と役割を分担しながら、地域医療に貢献できるよう診療にあたっております。
整形外科 過去3年間の手術実績 | ||||
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領域 | 細目 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 |
脊椎 | 頸椎 | 5 | 13 | 6 |
胸椎・腰椎 | 48 | 57 | 50 | |
その他 | 2 | 2 | 7 | |
外傷 | 上肢・その他の骨接合術 | 7 | 18 | 13 |
大腿骨頸部骨接合術 | 38 | 41 | 48 | |
大腿骨転子部骨接合術 | 24 | 33 | 37 | |
人工骨頭置換術 | 14 | 37 | 29 | |
その他の下肢の骨接合術 | 9 | 12 | 14 | |
上肢 | 神経剥離・腱鞘切開術 | 20 | 14 | 11 |
経皮ピンニング | 1 | 2 | 3 | |
創外固定法 | 0 | 0 | 2 | |
腱縫合術 | 0 | 1 | 1 | |
靱帯再建術 | 1 | 1 | 1 | |
下肢 | 人工関節(股関節・膝関節) | 28 | 15 | 25 |
脛骨高位骨切り術 | 1 | 1 | 0 | |
関節鏡視下半月板切除術 | 1 | 0 | 1 | |
腱縫合術 | 0 | 3 | 1 | |
足部手術 | 8 | 0 | 2 | |
その他 | 感染 | 6 | 3 | 3 |
抜釘術 | 26 | 46 | 49 | |
その他 | 23 | 22 | 8 | |
計 | 262 | 321 | 311 |
日本整形外科学会 専門医制度研修施設
整形外科では、県内外の医療機関と連携し、整形外科全般、特に頚椎腰椎など脊椎外科手術は年間100例を超えています。
当院は救急患者の搬送も多く、術前・術後の患者さまはもとより、外来患者さまにも総合リハビリテーションセンターにおいて充実したスタッフや機器で対応致しております。